【令和7年12月15日号】コラム

今年1年を振り返るための3ステップ

年末は、1年の経験を振り返り、自分の成長や課題を整理する絶好のタイミングです。
とはいえ
「振り返るってどうすればいいの?」
と迷う人も多いのではないでしょうか。
キャリアを見える化するためには、自分の強みや価値観、今後の方向性を明確にし、分析する必要があります。
経験をそのままにせず、次に活かせる力へと変えるために、振り返りをしてみましょう。
本記事では、自己理解を深め、来年のキャリアプランを描くための自己分析の方法とポイントを分かりやすく解説します。

今年1年を振り返るための3ステップ

まずは、今年の仕事や転職活動を整理しながら振り返ってみましょう。

1-1 ステップ① 今年の仕事・転職活動を振り返る

振り返りたいのに書くことが浮かばない時は、行動を時系列で書き出し、その時の感情に注目してみてください。

事実だけを並べても、自分の価値観は見えにくいものです。

・うれしかったこと

・悔しかったこと

・やりがいを感じた瞬間

など、心が動いた出来事を思い出すと自己分析のヒントになります。

特に転職を考えている人は、これまでのキャリアを棚卸しすることが重要です。

どんな業界で、どんな業務や役割を担い、そこから何を学んだのかを具体的に書き出しましょう。

成功も失敗も自分を成長させる大切な経験です。

成功の理由を分析し、失敗は学びに変えることで、自己肯定感が高まり、次のチャレンジへの意欲が湧いてきます。

1-2 ステップ②自分の成長を記録する

1年を振り返る際は、自分の成長にも目を向けましょう。

小さな変化の積み重ねが大きな成長へとつながります。

次の観点から、「Before→After」で自分の変化を整理してみましょう。

・スキル…新しく身につけた知識や技術、業務の幅の広がり

・マインド…考え方や価値観、仕事への向き合い方の変化

・人間関係…役割や信頼関係、コミュニケーションの質の向上

・働き方…時間の使い方、リモート対応、効率化の工夫

具体的には

・スキル…Before:Excel関数は基本しか使えなかった/After:VLOOKUPやピボットテーブルを使いこなせるようになった

・マインド…Before:指示待ちが多かった/After:自分から提案する機会が増えた

・人間関係…Before:会議で発言するのが苦手だった/After:週次ミーティングで進捗報告を任されるようになった

・働き方…Before:残業が常態化していた/After:業務の優先順位を見直し、定時退社が増えた

こうした整理を通して、自分の変化を客観的に捉えやすくなります。

感謝されたことやよく頼まれる仕事は、他者から見た強みかもしれません。

思いついたことを書き出してみてください。

1-3 ステップ③課題と改善ポイントを洗い出す

成功体験だけでなく、上手くいかなかったことにも目を向けましょう。

課題を分析し、原因を明らかにして改善策を立てることで、来年のキャリアプランに具体性が生まれます。

以下の手順で洗い出してみましょう。

①上手くいかなかったことを具体的に書き出す

まずは、今年の仕事や転職活動の中で

・思うように進まなかったこと

・結果が出なかったこと

をリストアップしてみましょう。

たとえば

• 転職活動が長期化し、希望の企業に届かなかった

• 新しい業務に適応できず、成果が出なかった

• スキルアップのための勉強が継続できなかった

ここで大切なのは、感情的にならず改善の余地がある部分として前向きに捉えることです。

②原因を深掘りする

次に、なぜ上手くいかなかったのかを「5WHY(なぜを5回繰り返す)」で掘り下げます。

たとえば

課題:転職活動が長期化した

→ なぜ?希望条件が高すぎた

→ なぜ?自分の市場価値を正しく把握していなかった

→ なぜ?情報収集が不十分だった

→ なぜ?業界研究を怠っていた

→ なぜ?時間が取れなかった

表面的な理由ではなく、根本にある原因を探ると次の行動が見えてきます。

③改善策を考える

続いて、原因に対する具体的な改善策を考えましょう。

ポイントは行動レベルに落とし込むことです。

たとえば

• 市場価値を把握するために、キャリアコーチングを受ける

• スキルアップのために、月1冊の専門書を読む

• 転職エージェントとの面談を定期的に設定する

改善策はできること、続けられることに絞りましょう。

理想論ではなく、現実的なアクションにまで落とし込めば実行力が高まります。

④「来年はこうしたい」につなげる

最後に、課題と改善策を踏まえて「来年はどうありたいか?」を言語化してみましょう。

たとえば

・2026年は、希望する業界で納得のいく転職を実現したい

・マネジメントスキルを磨き、チームリーダーとして活躍したい

・専門性を高めて、社内外から信頼される存在になりたい

このように、課題の振り返りは未来の自分を描くための材料です。

ネガティブな経験も、次の一歩につながります。

来年からのキャリアプランを考えるための2ステップ

次はいよいよ「これから」を考える番です。

自分らしいキャリアをデザインしていきましょう。

2-1 ステップ①理想のキャリアを描く

理想のキャリアとは、単に年収や企業名といった条件だけではなく、価値観や働き方、ライフスタイルが調和している状態です。

以下の手順であなたの理想を具体的にしてみましょう。

①自分が大切にしたいことを言語化する

まずは、次の問いを通して大切にしたいことを整理してみましょう。

・どんなときにやりがいや充実感を感じたか?

・どんな働き方が自分にとって心地よいか?

(例:裁量のある働き方、チームでの協働、在宅勤務など)

・どんなライフスタイルを送りたいか?

(例:家族との時間を大切にしたい、地方で暮らしたい、海外で働きたいなど)

・どんな価値観を持つ人と一緒に働きたいか?

これらの問いに答えることで、自分の価値観が少しずつ見えてきます。

②理想のキャリア像を言語化する

次に、自分が目指したいキャリア像を一文で表現してみましょう。

たとえば

「地方で暮らしながら、リモートで働くキャリアを築きたい」

「子育てと両立しながら、社会課題に取り組む仕事に携わりたい」

「自分のペースで働ける環境で、着実にスキルを磨いていきたい」

この一文が、来年の行動指針になります。

SNSや周囲の声に流されず、自分にとっての幸せを問い直すことが、理想のキャリアを描く第一歩です。

2-2 ステップ②2026年のアクションプランを設計する

理想が描けたら、実現に向けて計画を立てましょう。

ポイントは「SMARTゴール」を使って目標を具体化することです。

①SMARTゴールで目標を具体化する

SMARTゴールとは、目標設定を明確かつ実行可能にするためのフレームワークの一つです。

以下の5つの要素に沿って、理想のキャリア像を行動可能な目標に変換していきます。

・S(Specific)具体的である

 例:Webマーケティングの基礎スキルを習得する

・M(Measurable)測定可能である

 例:月に1回、マーケティング関連のセミナーに参加する

・A(Achievable)達成可能である

 例:平日夜の時間を使って学習する

・R(Relevant)関連性がある

 例:将来的にマーケ職への転職を目指している

・T(Time-bound)期限がある

 例:2026年3月までに基礎知識を習得する

このように当てはめていくと、漠然とした理想がいつ・何を・どうやってという具体的な行動に変わります。

②キャリア・スキル・ライフの3軸で目標を立てる

アクションプランは、以下の3つの軸でバランスよく設計するのがポイントです。

キャリア…2026年中に希望業界への転職を成功させる

スキル…月2回の勉強会に参加し、専門知識を深める

ライフ…週末は家族との時間を優先し、仕事とのメリハリをつける

このように、仕事だけでなく、スキルアップやライフスタイルも含めて設計することで、持続可能なキャリア形成につながります。

③やること・やらないことを決める

限られた時間とエネルギーを有効に使うためには、優先順位の整理が欠かせません。

たとえば

・やること…業界研究/資格取得/ポートフォリオ作成など

・やらないこと…目的のないSNS閲覧/惰性で続けている習慣/断れない付き合いなど

やらないことを決めると迷いが減り、行動に集中できます。

④行動計画に落とし込むポイント

最後に、目標を日々の行動に落とし込みます。

たとえば

・カレンダーに予定を入れる…学習時間や面談日などを事前に確保

・進捗を記録する…週ごとに振り返りを行い、改善点を見つける

・リソースを確保する…書籍、講座、相談相手など必要な支援をリストアップ

・小さな達成を積み重ねる…月ごとの目標を設定し、達成感を得る仕組みを作る

無理なく続けられる仕組みを作れば、理想のキャリアに着実に近づいていけます。

まとめ

年末の振り返りは、単なる過去の整理ではなく未来への投資です。

書き出すことで頭の中がクリアになり、迷いが減り、行動が加速します。

特に年末は、心と時間に余白が生まれるタイミングだからこそ、キャリアの「見える化」に最適な時期です。

• 年末にこそ、立ち止まって考える時間を持つ

• 書き出すことで、思考を整理し、行動に移す準備を整える

• 自分軸をもとに、来年の目標とアクションを設計する

このサイクルを繰り返せば、キャリアは偶然ではなく自分の意志で動かせるものになります。

2026年が、あなたらしい選択と行動に満ちた1年になりますように。